「ガールクラッシュ」とは、女子が憧れるかっこいい女子のこと。
同性受けという言葉は昔からありますが、このガールクラッシュという言葉に込められた意味はそれとはまた異なります。
そこにあるのはおそらく「自足する人が持つ強さ」「何にも依存せず媚びない潔さ」といった何かではないでしょうか。
今回ご紹介する漫画『ガールクラッシュ』は、そんな存在になるべくK-POPアイドルを目指す2人の女子高生の物語です。
2人の主人公、天花と恵理杏はルックスも性格もまさに対照的。
ときにいろいろな想いに飲み込まれそうになりながらも崩れることのない凛々しさは、まさにガールクラッシュな魅力があります。
そして少女たちを描きながらも少年マンガに通じる熱さもあり、しかし描かれている感覚はとても現代的。
2022年の今、まさにおすすめしたいの注目の作品です。
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漫画『ガールクラッシュ』とは
『ガールクラッシュ』はタヤマ碧(@tayama310)先生による連載漫画。
LINEマンガにて連載されており、2022年1月現在、2巻まで発売されています。
なお本作品は電子書籍のみでの発売。
現時点では紙の単行本は発売されていないのでご注意ください。

Kindle以外にも BookLive! や ebookjapan など、各電子書籍から配信されています!


『ガールクラッシュ』のあらすじ
高校1年生の百瀬天花は歌やダンスが上手く容姿端麗。
ダンス部のセンターをつとめる彼女は、校内の女子が憧れる存在だった。
カリスマ的な人気を集める天花だったが、小学生時代は真逆の存在。
家庭の事情が原因で暗く孤立した日々を送っていた。
そんな中、ただ一人変わりなく明るく接してくれていた幼馴染の湊晴海に、天花は心を惹かれるようになる。
現在の天花の華やかな姿は、「晴海くんにふさわしい人になりたい」という天花の完璧主義的な努力によるものだった。
しかし晴海の視線は佐藤恵里杏という、地味で小柄な同級生の女子に向けられていた。
天花と出会った恵里杏は「夢はK-POPアイドル」と告げる。
天花は自分よりも劣る恵理杏が無謀な夢を語り、晴海の意識を得ているのが気に入らない。
恵理杏を侮る天花は彼女の実力を試そうとするが、そこで見せたパフォーマンスは予想を裏切るものだった。
クラスメイトから仲間外れにされても変わらず接してくれた晴海。
高校生になった今でも変わらぬ恋心を抱く天花ですが、校内でファンがつくほどの存在になっても、まだ晴海に自分の想いを告げる自信がありません。
晴海が気にかける恵理杏(えりあん)のことが気に入らない天花ですが、意地の悪い無茶振りでステージに送り出した恵理杏のパフォーマンスを見たことで、その後が大きく変わり始めます……。
作者・タヤマ碧先生について
タヤマ碧(たやまみどり)さんは、2014年に『月刊アフタヌーン』に掲載の読み切り漫画『氷上のクラウン 〜Final Judge〜』でデビュー。
2015年には『good!アフタヌーン』誌上で『氷上のクラウン』の連載を開始されています。
『ガールクラッシュ』はLINEマンガにて2020年11月より連載を開始。
現在も絶賛連載中です(2022年1月時点)。
漫画『ガールクラッシュ』の3つの魅力
ガールクラッシュは2人の女子がアイドルへの道を突き進んでいく物語。
王道的なストーリーではありますが、読んでみると決定的に新しい感覚に心を奪われます。
魅力①:夢に向かって真っ直ぐ突き進む青春ストーリー
『ガールクラッシュ』は女子高生2人がK-POPアイドルを目指す成功への物語。
日本を飛び出して海外のショービジネスの世界に身を投じようとする女子たちの姿を描きますが、驚くのは作中に登場する少女たちの真っ直ぐさ。
特に恵理杏の自分の好きなものを信じて突き進む姿には揺るがない信念があり、若干16歳の少女に決して虚勢などではない強さを見出してしまいます。
また本作品が新しいのは、女子高校生が「K-POPが好き」という気持ちだけで、身一つで韓国の芸能界に乗り込むという設定。
インターネットの情報にスマホ一つでアクセスできる現代では、これは決して夢物語ではないリアリティのある物語ではないでしょうか。
若い才能が前例や慣例におもねることなく新たな道を模索している現代において、夢に向かってひた走る恵理杏は、その精神性を体現する象徴的存在のように映ります。
また恵理杏はK-POPに初めて出会ったときの感動と自身の内的衝動を確信しています。
これはいろんなものを切り渡しながら生き長らえてきた大人にはあまりにも眩しく映るはず。
そんな彼女の姿は作中の観衆だけでなく、読者も感情移入するように仕向けてくれるのです。
「現実では◯◯だから難しい」といった安易な助言を自重せざるをえないような恵理杏の真っ直ぐさ、そして迷いながらもそれに追いつこうとする天花の揺らぎがとても瑞々しい作品です。
魅力②:「他者」に揺らぐ天花と「自己」の揺るがない恵理杏の対比
『ガールクラッシュ』はK-POPアイドルという夢に向かい努力する女子たちの物語であると同時に、何が自分を承認するのかという自問の話でもあります。
K-POPに対する強い想いに生きる恵理杏
何をやっても人並み以上にできる天花は、地味で見栄えのしないのにK-POPという大きな夢を臆面もなく語る恵理杏を自然に見下します。
カラオケはで恵理杏の憧れのグループの歌を恵理杏以上に歌い切る天花。
追い討ちをかけるように「虚しくないの?成果が出ないことを努力し続けること」とまで言い放ちます。
しかし、そんな天花に恵理杏は「やっぱりどう考えても虚しくない!」「やりたいことやってるんだよ、こんなに幸せな時間はない」と迷いなく笑顔で返します。
K-POPアイドルになるという目標に向かう充足感や大好きな歌やダンスに没頭する喜びしかない恵理杏は誰に何を言われても一切揺らぎません。
前準備もなく急に訪れる大舞台でも、1ミリも臆することなくそのチャンスを楽しめる様はまるでメンタルおばけ。
一見弱々しいけれど簡単に傷つくような弱い内面がなく嫌味なく前進できる様は、読んでいる読者をも魅了するのです。
他者からの評価に揺らぐ天花
一方の天花は対照的。
自分を高め続け他人から称賛される存在になったのに最も欲しい晴海の気持ちは得られず、人知れず空虚感に苛まれています。
一見強くて自己が確立されている憧れられる存在「ガールクラッシュ」な天花が実は他己評価の人でもあるのです。
しかし彼女も恵理杏と出会い行動をともにする中で、少しずつ自己への意識を変えていきます。
最初は下に見ていた恵理杏への対抗意識から冷やかし半分にK-POPの道を覗いてみる天花。
エゲツないほどの実力主義の世界を目の当たりにし、自分の実力を知った天花が今後どのように変わっていくのか。
ガールクラッシュでありながらも内面的にも強さを手に入れようとする天花の成長も見逃せません。
画力が異常に高い&歌やダンスの描写がきれい!
『ガールクラッシュ』は画力の高さも魅力の一つ。
K-POPアイドルを目指す物語なので、当然少女たちが魅力的に描かれていないと説得力が薄れてしまうわけですが、一目見てわかるように絵がめちゃくちゃ上手い!
かわいいのに読み手のいやらしい感性をくすぐることのない、健康的でニュートラルな絵なんですよね。
同性に憧れられるかわいくてかっこいい女子という、まさに作品の世界観にぴったりだと感じます。
また歌やダンスのシーンであらためて感じるのがデッサン力の異常な高さ。
ダンスの躍動感はもちろん、ポーズを取った際の微妙な肢体のバランスをはじめ、人物の体の線の美しさは本当に見事だと思います。
大袈裟でなくずっと見ていたくなるような、絵に見惚れてしまう漫画です。
漫画『ガールクラッシュ』感想・レビューまとめ
一部ではすでに話題になっており、さらに多くの方々へ伝播し始めている『ガールクラッシュ』。
個人的には紙の単行本でリリースすれば一気に火がつきそうだと感じています。
昨今のジェンダー意識の高まりや席巻するK-POPムーブメントという観点から言及されることも多い作品ですが、本質的な魅力はそれにとどまらない普遍性をともなったもの。
同時代性を内包しつつも性別や年代を超えて楽しめる新たな成長物語だと感じています。
本当におすすめしたい漫画なので、ぜひこの機会に夢に向かって邁進する少女2人の物語を手に取っていただければと思います。
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