『ひらけ駒!return』は南Q太さんの描く将棋漫画。
将棋に出会いより本格的に没頭していく少年の成長と、それを見守る母親の姿を描いた作品です。
ちなみにこの『ひらけ駒!return』は前作『ひらけ駒!』の続編にあたる漫画。
前作では描かれなかった、主人公の宝くんが将棋を始めた頃のエピソードから物語が語られていきます。
なお本作品は続編的漫画ではありますが、これ単独で1つの作品として成立しています。
この作品から読み始めても途中で意味がわからなくなることはありませんので、ご安心ください。
全2巻で完結済みです。

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漫画『ひらけ駒!return』のあらすじ
小学四年生の菊地宝は学童クラブで将棋を覚える。
これまでさまざまなブームがきて去っていった彼だったが、将棋へののめり込み具合は少し違っていた。
学童クラブの子どもはすでに相手にならず、大人さえも打ち負かしていた宝は、母親に将棋を習いに行きたいと告げる。
将棋教室が近くになかったため、将棋サロンに通いはじめる宝。
毎日のようにサロンに通い、大人に混じって将棋を打ちながら、宝はどんどん強くなっていく。
サロンで出会った小学生のアマチュア棋士やプロ棋士、奨励会員たちと勝負するなかで、やがて宝はある目標を持ちはじめる—。
以上が本作品の前半部分の主なあらすじ。
また『ひらけ駒!return』は全2巻の完結作品ですが、前作として『ひらけ駒!』という作品が単行本化されています。
前作は残念ながら未完のまま連載が終了してしまいましたが、この『ひらけ駒!return』は充電期間を経て、掲載誌を変えて再開した作品。
前作『ひらけ駒!』で描かれる前後のストーリーが描かれます。

漫画『ひらけ駒!return』の魅力はここ!見どころを紹介
ここからは本編の魅力についてご紹介していきます。
母親目線で描かれる少年の将棋ライフ
『ひらけ駒!return』で特徴的なのが、漫画が息子を見守る母親視点なこと。
将棋漫画ではありつつも、少年が成長していく様を母親の視点を通して描いており、親心につい感情移入してしまいます。
しかし母親が見守る姿はあくまで自然体。
休日の将棋大会に付き添いで向かうなど、息子の将棋への気持ちをしっかり応援しつつも、過剰に入れ込むわけではなく見守るのは遠く壁際から。
けれども試合が終われば、息子の感情をしっかりと、しかしどこかそっけなく受け止めてあげる様子に、母と子のよい距離感がうかがえます。
息子の宝くんを通して描かれる奨励会への挑戦
『ひらけ駒!』は主人公である宝くん自身の成長の記録でもあります。
若干小学4年生にして将棋にハマった宝くんは将棋に没頭しますが、その姿はまさに寝食を忘れるほど。
ときには大一番に負けて涙することもありますが、好きに勝るものはないとの言葉どおり、ぐんぐんと将棋の腕を上げていきます。
大人も軽々負かせられるようになり、順調に階級を上げる中、やがて宝くんは将棋の道を本格的に目指す子どもたちに出会います。
そこで自然に意識するようになるプロ棋士への道。
はたして、狭き門であるプロ棋士育成機関、奨励会に挑むのか—?
単なる将棋の勝ち負けだけではない、少年らしさのある精神的な機微が描かれているのもこの作品の見どころです。
作者の南Q太さんのモノクロームな独特の絵のタッチ
作者の南Q太さんが描くイラストは線が特徴的で、繊細でありつつも輪郭が立っているのが個性的。
また背景が描かれないコマの配置もうまく、白と黒がはっきりとした独特の空気感があります。
南Q太フォロワーは多くいれど、この絶妙な感じはやはりご本人でこそ。
またこのモノクロームなテイストが、将棋の静謐なイメージにもよくマッチしています。
またディテールの話ではありますが、将棋盤や駒がフリーハンドで描かれているのとか、そういうのもかなりいい!
少しラフさも感じる線がこの漫画の空気感に一役買っているので、ぜひこのような細部もじっくり眺めていただければと思います。
漫画『ひらけ駒!return』の感想・レビューまとめ
以上、本記事では漫画『ひらけ駒!return』についてご紹介しました。
冒頭でもご紹介したように、『ひらけ駒!return』は前作『ひらけ駒!』の続編。
本作品だけでも単独の作品として読めるようになっていますが、『ひらけ駒!』から読んでいただくとより感情移入できるかと思います。
特に『return』から読み始めた場合は、2巻に行く前に前作に飛び移った方がいいかもしれません。
ぜひ宝くんの成長物語を見守っていただければと思います。
なお『ひらけ駒!return』と『ひらけ駒!』は本記事執筆時点で、Kindle Unlimitedにて配信中。
他の南Q太作品とあわせて無料で読めるので、ぜひそちらをご利用してみていただければと思います。

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