漫画『海辺のキュー』—ほのぼのか不穏か?負の感情を食べる謎の生物の地球侵略ストーリー

田舎の冴えない日常に「滅びないかな、こんな街」とつぶやいた女子中学生が海辺で出会ったのは、ふしぎな謎の生物だった—。

背川昇さんの漫画『海辺のキュー』は思春期の日常を舞台に、謎の地球外生命体・キューが引き起こす事件を描いたSF作品。

かわいらしくポップでライトな絵柄から受ける印象とは裏腹に、描かれる人間関係はときにリアルな思春期の中学生そのもの

ほのめかされる不穏な予感と抜群のストーリーテリングで、最後の最後まで目が離せないSFストーリー漫画です。

著:背川昇
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漫画『海辺のキュー』のあらすじ

主人公の犬飼千穂は沼津の中学校に通う中学1年生。

どん臭くあか抜けない千穂友人から軽く扱われることも多く、部活の先輩からも目をつけられるなど、冴えない日々を過ごしていた。

ある日、スマホを持っていないことを理由に友達から仲間外れにされた千穂は、海に向かって「滅びないかな、こんな街」と一人つぶやく。

ふと千穂が鳴き声に気づくと、足もとで大きな目をした犬のような謎の生物がこちらを見上げていた。

かわいい姿に思わず手を伸ばす千穂だったが次の瞬間、千穂の体は大きく口を開いた謎の生物の体内に飲み込まれていた

さまざまな想いや記憶が駆けめぐる中、意識の薄れていく千穂。

海辺で目を覚ました千穂は、気持ちだけが異様に清々しくなっており、イライラした嫌な気持ちがなくなっていることに気づく。

謎の生物のかわいらしさとその能力に感動を覚えた千穂は、こっそり家に連れ帰り、「キュー」と名付けて育てはじめるのだった。

しかし真っ白いはずのキューのしっぽの先は、なぜか少しだけ黒く染まりはじめていた

以上が序盤のストーリー。

全4巻ということで、まさに1巻ごとに起承転結といった具合に話が展開していきます。

漫画『海辺のキュー』はここが面白い!魅力と見どころを紹介

ここからは本作品の魅力をご紹介していきます。

ネガティブな感情を食べる謎の生物・キュー

本作品のもう1人の主人公(?)が謎の生命体「キュー」

どこから来たのか、何が目的なのかは不明ですが、1つ分かっているのは、愛らしくかわいい見た目で千穂に懐いていること。

一見犬のようなキューは仕草や鳴き声もまるで犬そのもので、まるでマスコットキャラみたいです。

その姿に心奪われた千穂は自宅にキューを連れ帰り、寝食をともにしながら交流を深めていきます。

しかしもう1つ明らかになっているのが、キューは人のネガティブな感情を視覚で捉えることができ、さらにはそれを主食とすること。

キューに食べられた人間は負の感情が消えて別人格にようになりますが、一方でそのドス黒さが蓄積されたかのように、キューの体は黒く変色していきます

やがてキューの体が黒くなったときに何が起こるのか……?

そしてキューの目的はいったい何なのか……?

話の進展に応じてインサートされる「地球侵略進行中」のアイキャッチもとても気になるところ。

衝撃の真実はぜひ本編でご確認ください!

殺伐とした中学生の日常のリアル感

『海辺のキュー』は描かれる中学生活の空気感がリアル

この年代特有の他人に対する配慮のなさや、そこからくる殺伐とした当たりが、やたら現実味のある描写で描かれています。

たとえば、千穂はクラスで1人だけスマホを持っておらず、そのことを友人から馬鹿にされ続けています。

ときには下に見られているくらいの扱われ方で、そういう目線に千穂はコンプレックスを抱いていますが、友人なので強くも言い出せません。

またどん臭さい千穂は部活でも先輩に目をつけられ、理不尽ないびりの標的に。

そのあたりのちょっとリアルな感じは、大人の読者でもきっと中学生時代を思い返すはずです。

そしてこの風景が意味のない露悪趣味などではなく、意味あるものとして作品のストーリーにうまく絡んでいるのがこの作品の素晴らしさ。

関係を変化させつつ終局に向かっていく千穂たちの日常をぜひ追いかけてみましょう。

巧みなストーリーテリングと演出力

『海辺のキュー』を読んでいて気付かされるのが、ストーリーテリングの上手さと演出方法の素晴らしさ

作者の背川昇さんの絵柄はいい意味でとてもライトでポップなので、ついついさくさく読み進めてしまいますが、コマ割りや場面転換などが非常に巧みです。

ちょっとした伏線の張り方も上手く、また解釈に迷いつつも2周目を読むことで気付かされる要素などもあり、より深い楽しみ方ができるのではないかと思います。

具体的に触れるともろにネタバレになってしまうのがもどかしいですが、ぜひ視点を変えながら何度でも読み返してみていただきたい作品です。

漫画『海辺のキュー』の感想・レビュー

以上、漫画『海辺のキュー』のご紹介でした。

『海辺のキュー』のような設定の作品は、やもすれば「セカイ系」の括りに入れられてしまいがちです。

特に「キュー」がどこかまどマギの「キュゥべえ」を連想させるからかもしれません。

しかし僕がこの作品を読んで直感的に思ったのは、単なるセカイ系ではないし、むしろその反対ということ。

特にラストに向けて衝撃の展開が続きますが、帰着する風景がどういったものなのか、ぜひ読者の方の目で確かめてみていただければと思います。

『海辺のキュー』は全4巻で完結済み。

おすすめの作品です。

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