ホラーの王道ジャンルとして、時代を超えて支持され続ける「ゾンビもの」。
’69年の映画『ナイトオブザリビングデッド』を原点と考えると、50年以上も物語の題材にされ続けてきた、歴史の長い恐怖ジャンルです。
死人が蘇るという恐怖は古今東西、文明を超えて共有される根源的なものですが、簡単に飽きられることがないのは題材のポテンシャルゆえ。
描かれる題材もグロテスクさだけにとどまらず、人類の生存や感染症への恐怖、社会の混沌など多種多様です。
日本の漫画においても同様で、その取り入れ方も王道を踏襲した正統派ホラーからギャグ系漫画まで、想像以上にバリエーションが豊富。
フォーマットが成立しているゆえのアレンジの振り幅の広さにきっと驚くはずです。
本記事ではそんな名作揃いのゾンビ漫画のなかから、おすすめの作品を紹介します。
ぜひ漫画選びの参考にしてください。
なおオカルト系漫画は下記の別記事で紹介しています。
心霊現象や超常現象、民間伝承にまつわる漫画をお探しの方は、ぜひこちらをご覧ください。

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サバイバル・パニックホラー系のゾンビ漫画

まず最初に紹介するのが正統派ホラーなゾンビ漫画です。
王道の展開が期待できる作品群ですが、そこはエッジの効いた現代の漫画。
読み進めるうちに驚くような展開を見せたりなど、ひとすじ縄ではいかない物語設定が魅力です。
アイアムアヒーロー
タイトル | アイアムアヒーロー |
作者 | 花澤健吾 |
出版社 | 小学館 |
レーベル | ビッグスピリッツコミックススペシャル |
巻数 | 全22巻(完結) |
連載漫画家として返り咲く日を夢みつつも、アシスタント生活から抜け出せない30代の元漫画家・英雄。
彼女や編集者から軽く扱われがちな日常の鬱屈を妄想で解消する毎日でしたが、その冴えない日常すら人々の謎のゾンビ化で一瞬にして崩壊してしまいます。
本作品もこれまでの花沢作品と同様に、物語の中心に立つのは日常でどこか生きづらさを抱えていた人たち。
ゾンビ化の感染症の意外な事実がわかり始めた辺りで、物語は予想しない展開を見せ始めます。
ゾンビ化により混濁していく意識の中であらわになる、抑圧の記憶の描かれ方などはやはり秀逸。
ゾンビ漫画の金字塔とも呼べる傑作です。
- 2020年 マンガ大賞2010 4位
- 2011年 マンガ大賞2011 3位
- 2012年 第58回小学館漫画賞一般向け部門受賞
- 2016年 映画『アイアムアヒーロー』
がっこうぐらし
タイトル | がっこうぐらし |
作者 | 作画:千葉サドル、原作:海法紀光(ニトロプラス) |
出版社 | 芳文社 |
レーベル | まんがタイムKRコミックス |
巻数 | 全12巻(完結) |
「萌え」と「ゾンビ」の2大要素で構成される本作品。
絵柄からも萌え成分が強めの日常系かと思いきや、海外ドラマ『ウォーキング・デッド』を彷彿とさせるハードでサバイバルな展開が描かれていきます。
もちろん百合っぽい日常描写もありますが、それも半ば作られたもの。
アポカリプス前の白日夢に生きる女子高生・丈槍由紀(たけやゆき)の精神を守るかのように、生き延びた女子高生たちは「学校生活部」なる部活動を演じつつ、生存を続けます。
「なぜ学校で長期生存できているのか」といったご都合主義に対する疑問も設定で回収していたりなど、描かれ方は丁寧。
「萌えとグロとのギャップ狙い」といった穿った見方をされがちな本作品ですが、先入観を捨てて楽しんでほしい作品です。
- 2015年 アニメ『がっこうぐらし』(MXテレビ)
- 2019年 映画『がっこうぐらし』
東京アンデッド
タイトル | 東京アンデッド |
作者 | 作画:中山茂大 原作:佐伊村司 |
出版社 | 徳間書店 |
レーベル | リュウ・コミックス |
巻数 | 全2巻(完結) |
突如あらわれたゾンビによって、またたく間に支配されてしまった東京。
生き残った人々は一面がゾンビと化した世界で、手を取り合いながら何とか生き抜こうとします。
しかし秩序が失われた世界で恐ろしいのはゾンビ以上に人間。
描かれる世界観がリアル志向なためか、冒頭からして胸クソ展開で始まります。
暴力描写への耐性のない方は要注意ですね。
クルエラーザンデッド
タイトル | クルエラー ザン デッド |
作者 | 作画:高橋構造、原作:佐伊村司 |
出版社 | 日本文芸社 |
レーベル | ニチブンコミックス |
巻数 | 全2巻(完結) |
『東京アンデッド』の作者が描く新たなゾンビ漫画。
主人公たちは一度ゾンビ化してしまった人間で、ワクチンによって人間に戻りながらもゾンビ時の驚異的な身体能力を獲得しているという設定です。
こちらの作品で描かれるのも、やはり秩序なき世界での人間の怖さ。
暴力が支配する世界なので、耐性がない人にはおすすめしません。
日常系・ゆるい系のゾンビ漫画

こちらでは日常系、ゆるい系のゾンビ漫画を紹介します。
日常が崩壊していく様を描くゾンビ漫画で、日常系というワードはやや取扱注意なのですが、作品のざっくりとした雰囲気でこちらに分類しています。
アリスインデッドリースクール
タイトル | アリス イン デッドリースクール |
作者 | 作画:小島アジコ、原作:麻草郁 |
出版社 | KADOKAWA |
レーベル | 電撃コミックスEX |
巻数 | 全1巻(完結) |
漫才の練習や部活でたまたま学校の屋上に集まった女子生徒たち。
やがて彼女たちは眼下の生徒たちがゾンビ化し、まだ生きている生徒に次々と襲いかかっていく光景に気づきます。
物語が中盤くらいまでは、それぞれのキャラクターの個性が前面に出たゆるい日常系のノリで進みますが、後半に入ると次第にシリアスな空気が漂いはじめます。
屋上に取り残された17人の女子高生たちはそれぞれに関係性があり、それゆえに別れは無慈悲で残酷。
登場人物が少々多めですが、巻頭に登場人物の一覧があるので、しおりですぐに飛べるようにしておくと読みやすいと思います。
小島アジコさんの淡々とした絵柄も作品の空気感にあっていて、個人的におすすめの作品です。
ギャグテイスト・非ホラー系のゾンビ漫画

次にシリアス・恐怖路線ではないゾンビ漫画を紹介します。
とはいえゾンビが登場する以上、造形的な怖さはあるのでご注意を。
ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~
タイトル | ゾン100 〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜 |
作者 | 高田康太郎 |
出版社 | 小学館 |
レーベル | サンデーGXコミックス |
巻数 | 既刊13巻(2023年3月1日時点) |
ブラック企業勤めで連日午前様の主人公天道アキラ。
荒廃した部屋でゾンビ映画を見て「会社に比べりゃ天国だよな」とつぶやいた次の日の朝、街が突然ゾンビだらけになってしまいます。
パニックにおちいる世間とは反対に、会社に行かなくてすむようになったアキラは、生の喜び、充実感を取り戻すことに。
自分のやりたかったことは何なのか、アキラはゾンビになるまでにしたいことを100リストアップし、それをひたすら潰し始めます。
過重労働や生の充実感といった現代的でやや重たいテーマを、ポジティブで明るい作風がうまく中和してくれている、楽しく読めるおすすめのゾンビ漫画です。
黒街
タイトル | 黒街 |
作者 | 小池ノクト |
出版社 | 秋田書店 |
レーベル | 少年チャンピオンコミックス・タップ! |
巻数 | 全3巻(完結) |
ホラー・オカルト系漫画にしてナンセンスなギャグが光る『黒街』。
主人公・幸一の父親の再就職先がなぜか怪異の現場になっているという、巻き込まれ系お約束漫画の傑作です。
本作品はゾンビ専門の漫画ではないのですが、現れる異形の者たちの一つとしてゾンビ風の化け物も登場。
全3巻できれいに完結しており、読み始めやすいのもいいですね。
独特なテンポがクセになる、おすすめの作品です。
シカバネ★チェリー
タイトル | シカバネ★チェリー |
作者 | こなみ詔子 |
出版社 | 秋田書店 |
レーベル | プリンセス・コミックス |
巻数 | 全3巻(完結) |
クラスのイケメン・桃野に片想いの主人公・美雨。
共通のオカルト趣味から距離が急接近し、デートをすることに。
しかし幼なじみの化学オタク・羽瑠(はる)が作った超強力細胞活性化液「チェリースープ」を滋養強壮剤代わりに飲みほしてしまったことで、美雨はゾンビになってしまいます。
そして判明する桃野のゾンビ嫌い。
やがて美雨の体にも変調があらわれ始め……、といったストーリーの青春ラブコメディ。
怖い系の話ではないですが、話も上手に作られていてどんでん返しも仕込まれているなど、サービス精神も豊富。
ゾンビ的な描写を期待して読む漫画ではないですが、めちゃくちゃ面白いので、個人的におすすめの作品です。
ゾンビ漫画のおすすめ作品まとめ
ご覧いただいたように、ゾンビ漫画とひとくちに言っても、テイストは千差万別。
むしろ定型化したフォーマットをいかにアレンジするかを見せる、作家性の発露のジャンルと言ってもよいでしょう。
王道からニッチまで、ぜひ本記事を漫画選びの参考にしていただけると幸いです。
また当ブログでは他にも題材ごとにおすすめ漫画を紹介しています。
ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。






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